2006年5月28日日曜日

第30話 新たなる挑戦

チャングムの「医女になって宮中に戻る」という話に、ミン・ジョンホも「そういう制度がある」と答える。薬房に帰ったチャングムは、医術を教えてほしいとチャンドクに頭を下げる。チャンドクは承知するが、先輩の奴婢たちが苦情を言う。チャンドクは、力のあるものにしか教える気はないと言う。そして、手に取った薬草の名前を奴婢たちに尋ねるが、誰も答えられない。チャングムは、名前と効能をすらすらと答えるのだった。また、皮膚病の子どもの治療のため、チャングムが薬を自腹で買って、真水を汲みに山まで行った事実を挙げ、チャングムの心構えも他の者たちより優れていると言う。
早速チャンドクは、チャングムに人の顔の色を見て記録するように命じる。赤、青、白、黄、黒の5種類があり、それぞれ病の特徴から来ることを説明する(五色診)。チャングムは書物でそれを覚えようとするが、実際に人の顔を見ないと分からない。そこで、道行く人の顔を覗き込んだりするが、迷惑がられる。それを知ったチョンホは、兵士たちに配給するとき、チャングムが五色診ができるように取りはからう。その後チョンホは、チャングムが「酷い」と言う。自分の顔の色を見てくれないからだと言うのだ。チャングムがチョンホの顔を覗き込むと、チョンホは顔を赤らめる。そして、チョンホはチャングムの手をそっと握る。チャングムは恥ずかしそうにその場を離れるのだった。チャンドクの厳しい教えは続き、医学書を全て覚えるように指示し、また、一度言ったことは繰り返さないという徹底ぶりだった。

その頃宮殿で、ヨンセンが犬と戯れているところに王が通りかかる。ヨンシン女官長からヨンセンは、王が来たことに気づかなかった事で叱責される。王はヨンセンが泣いていたのに気づき、なぜ泣いていたのか尋ねるが、ヨンセンは黙ったままだ。チミル尚宮も早く答えるよう促すが、王はそのまま去ってしまう。翌日ヨンセンは、そのことを聞いたミン尚宮から、ますます立場が悪くなると怒られる。
チェ・パンスルは、硫黄アヒル事件以降「順風満帆だ」とチェ尚宮に話している。チェ尚宮も、次世代のチェ一族を背負って立つサリョンの教育をしている話をする。しかしクミョンは、サリョンにハン尚宮流の教育をしている。それを知ったチェ尚宮は、クミョンを激しく叱責する。しかしクミョンは、自分たちは負けたと主張する。しかも、料理への情熱で負けたというのだ。しかしチェ尚宮は、強大な力を手に入れてチェ一族を繁栄させると主張する。チェ尚宮はチョンホのことまで持ち出すが、結局二人の議論は平行線を辿る。
ヨンセンが元気が無いのを見たヨンノが、けんかをしようと声をかける。何も言わないヨンセンだったが、そこに王のチミル尚宮がやって来て、着いてくるようにと命じる。何事かと着いて行くと、入念に化粧をされ、爪を切られる。王に召されたらしい。やがて王がやって来て、犬と戯れていた時なぜ泣いていたか、再度尋ねられるが、今度も答えられない。王は、自分も寂しいときがあると言う。
翌朝、ヨンシン女官長は、ヨンセンが特別尚宮になったことを宣言する。ミン尚宮が驚きながらもお祝いを言う。一方、チェ最高尚宮はにこりともせずおめでとうと言う。ヨンセンの部屋にやって来たミン尚宮とチャンイがはしゃいでいると、ヨンセンは「王が怖い」と言う。しかしチャングムのために我慢するとも言う。そして、硫黄アヒル事件のことを王に直訴するつもりだと話すのだった。それを聞いたミン尚宮は、慌てて制止する。時が来るまで決してそのことは話してはならないと言う。
カン・ドック家では、ナジュテクに子どもが授かったお陰でトックが細かな仕事をしている。突然ナジュテクが、「イチゴが食べたい」と言い出す。真冬にイチゴが取れるはずも無いが、やむなく調達に行くトック。チャングムがいればイチゴのような菓子も作ってくれたのに、と残念がる。
チャンドクの厳しい教えは続く。間違えるとムチで打たれるのだ。それを知った他の奴婢たちは、チャンドクに医術を教わらなくて良かったと噂している。チャンドクはチャングムに、脈の取り方を教える。チャングムは、料理や食材の比喩で的確に脈を取る。指先の感覚は合格と言うチャンドク。
チャンドクとチャングムがある患者の往診に来ると、何やら様子がおかしい。チャンドクが体質改善をしていた患者に、別の医者がニンジンを処方したらしいことを知る。チャンドクは怒り心頭でその医者のもとに向かう。チャングムは、その医者の部屋で見覚えのある書物を見つける。何と、その医者は以前菜園にいたチョン・ウンベクだった。ウンベクに仔細を話すチャングム。しかし、チャンドクは、ニンジンを処方したことを非難する。ウンベクはチャンドクに、ニンジンも蒸して紅参にすれば、処方できると説明する。
ウンベクは、自分が済州島に来た理由をチャングムに話す。菜園にいた頃腹部に腫瘍ができていて、自暴自棄になっていたが、チャングムの希望を捨てない姿勢に触発されて治療法を探しているというのだ。チャングムも、医女になる決心をしたことを話す。しかし、医女になって宮中に戻り、ハン尚宮たちを陥れた者を懲らしめると聞いたウンベクは、医女になってはいけないと言う。その主張にチャンドクが反論する。自分も医女になったのは親の仇を取るためだったというのだ。薬房への帰りに瓦松を採るようチャングムに命じたチャンドクは、一人何かを考えている。
翌日、クマンが流刑者の容態が悪いとチャンドクに知らせに来る。往診に向かうチャンドクたち。そこにウンベクが立ちはだかり、復讐のための医術は許せないと言う。チャンドクは一同を連れて流刑者のもとに向かう。流刑者の脈診をしたウンベクは、病気が自分と同じだと知る。そして、チャンドクは治療法を知っているというのだ。しかしでチャンドクは、この流刑者が自分の親の仇であると告げる。ウンベクは言葉を失う。
その夜、ウンベクはチョンホを訪ね、チャンドクが流刑者の命を奪ってしまうかも知れないと警告する。しかしチョンホは、それはチャンドクの問題だと言う。そして、ウンベクにこの件に関わらないように言う。しかしウンベクは、優れた医女であるチャンドクに罪を犯させるわけにはいかないと言う。
翌日チャンドクたちが流刑者を訪ねると、先にウンベクが来ていた。ウンベクは自分が治療すると言うが、チャンドクに促されて彼女に任せる。チャンドクは、一度は患者を殺すツボを狙ったが、ためらった後治療の鍼を打つ。ほっとするウンベク。
チャンドクは、自分は医術と復讐の狭間で悩んだが、これからはチャングムが悩む番だと言う。しかしチャングムに、医術と復讐の両方を成し遂げてほしいとも言う。チャングムは海辺で、将来のことを考えている。それを見守るチョンホ。
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今回はいろいろなことが起こります。チャングムが医術の修行に励み、ヨンセンが特別尚宮になり、サリョンの教育方針を巡ってチェ最高尚宮とクミョンの対立があり、ウンベクが再登場します。今後の展開の起点になっています。チャンドクも人に知られない事情があった訳ですが、チャングムにもやがて“選択の時”がやってきます。
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今週の名言
「料理で失敗してもまずくなるだけだが、医術で失敗すれば人の命に関わる」
チャンドクがチャングムに医術を教えているときの言葉。全くその通りですが、同時に復讐のために医術を学んだチャンドクが言うから重みも増すというものです。ウンベクを偽医者呼ばわりして非難するチャンドクは、チャングムが済州島に来たばかりのチャンドクに対する態度にそっくりです。

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