2008年2月11日月曜日

倖田來未発言問題

倖田來未さんのラジオでの「35歳を過ぎるとお母さんの羊水が腐ってくる・・・」という発言が批判を受けています。主にネットからの発信が多いようで、それをマスコミが受けて煽っている印象も無きにしもあらずという印象です。それにしても、日本人は常に誰かをバッシングしていないと気が済まないようです。テレビに出てくる人物で、有名であればあるほど格好の対象になります。



私はこの件を聞いて最初に思い浮かべたのは柳沢元厚生労働大臣の「子どもを産む機械」発言。これは思わず本音が出たという印象でしたが、今回は倖田來未さんが本当にそう信じて発言したかは疑問に思っています。むしろ、私はその発言から無知を感じました。無知の者に対する執拗な攻撃、これは私がヘキサンゴン現象と名付けようと思っている現象に通じるものがあります。最近の日本の笑いは、無知な者、不器用な者を攻撃して楽しむという卑屈で鬱屈したものになりがちと感じているのです。
逆に言えば、それだけ日本国民が出口の見えない閉塞状況に追いやられ、何者かを攻撃して感情のはけ口にしているという不健全な現状を反映しているとも言えます。“格差社会”と言われる社会状況で、低賃金で働かされる不安定な雇用に就労する人が増え、老後の年金はもらえるかどうかあやふや、物価は上がり、好景気も一般国民には実感が湧かない、そういう状況です。
やっぱり、日本も捨てたものじゃないと感じさせるような希望の持てる社会を作っていくべきです。マスコミはネガティブな事象をとりたてて報道します。一例を挙げると、OECDによる生徒の学習到達度調査(PISA)で日本が大きく順位を下げたと報じられ、これは「ゆとり教育」の弊害で小中学生の学力が低下した、と一般に認識されるようになりました。事実をみれば、確かに順位は下がっていますが、PISAのレポートでは「日本はトップグループ」と紹介されています。また、常に上位にいるフィンランドは日本で言うところの「ゆとり教育」を行っています。色々なファクターと解釈がある事象の一つの断面だけを取り上げて強引に結論を出すと、往々にしてそれは間違った判断を下すことにつながります。
この強引な結論の導き出しと、無知が重なると、例えば高齢出産はリスクが大きい(これも最近の医療技術の進歩等によって事実に反する)→若いうちに子どもを産んだ方が良い→“羊水が腐る”と、いつの間にかなってしまいます。
確かにマスコミにも責任があるのですが、受け手の国民の側も注意していないと、間違った論理と結論に導かれて悲惨な状況に追いやられる可能性があります。
ただし、倖田來未さんの発言を聞いて、世の中には言って良いことと悪いことがある、という常識を持たない大人が増えてきているのか、という現状にも唖然としてしまいます。

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