2008年5月13日火曜日

三菱東京UFJ銀行のシステムトラブル

昨日(5月12日)、三菱東京UFJ銀行の提携ATMの一部が使えなくなるトラブルが起こりました。現在同行は旧東京三菱銀行と旧IFJ銀行のシステム統合を進めており、その第一弾の作業でした。
三菱東京UFJ銀行のホームページには、「トラブルがありました。お詫びします。」という無内容な案内が掲載されているだけで、どのようなトラブルだったのか、さっぱり分かりません。(※1)

このトラブルを通じて見えてくるのは、大きく3つの問題点です。

��.システム統合の難しさ
2002年にみずほ銀行がシステム統合に伴う大規模なトラブルを発生させたため、金融庁の指導もあって、今回の三菱東京UFJ銀行のシステム統合では慎重に作業を進めてきたはずです。それにも関わらず、やはりトラブルが発生しました。大規模システムのシステムの取り扱いが如何に難しいかを示しています。
私は、そもそも論として、システム統合で「何をするの」かという議論と、「何をするべきか」という議論が混乱しているのではないかと想像しています。今回のシステム統合は、旧UFJ銀行のシステムを旧東京三菱銀行のシステムに“片寄せ”する方式のようです。単純に考えれば、旧UFJ銀行の支店を(システム的に)閉店して、旧東京三菱銀行を同じ場所に(システム的に)開店させれば、問題が起こる気がしません。
システム統合に膨大な工数がかけられている(らしい)ことを合わせれば、“片寄せ”と言いつつ、旧UFJ銀行のシステムが持っていた“独自機能”(の一部)を、旧東京三菱銀行システムに移植させようとしたに違いないと考えています。
ゼロからシステムを作るのは簡単ではありませんが、既存のシステムに機能を追加するのもそれ以上に難しいものです。旧UFJ銀行の“独自機能”について、「お客様が必要としているから」「お客様の要望があるから」という分かったようで分からない「要件」だったものが、いつの間にか「システム要件」に化けていないでしょうか?
��.システムの完璧性の要求度
それにも関わらず、ATMのトラブルは比較的限定的でした。セブン銀行のATMで使用できなかったことと、6社の金融機関で入金ができない状況の2件が報告されています。
先月、私はイタリアとフランスに行ってきましたが、イタリアのバスのモニターにはWindowsNTのブルースクリーンが表示されて、普通に走っていました。昨年行った時と変わっていません。フランスの国鉄(SNCF)の券売機は、2台のうち1台が使えれば良しとという感覚です。
日本のシステムは、ちょっと何かあると大騒ぎになります。ATMが使えなかったり、入金が間に合わなかったりすれば、確かに問題ではありますが、逆に言えば、問題が起こったときの態勢が整っていないことの反面かも知れません。
��.情報公開のありかた
それに加えて、今回の三菱東京UFJ銀行のホームページの情報提供は非常にお粗末です。事実かどうかは分かりませんが、私が報道で知り得たトラブルの原因は、(1) セブン銀行のATMで処理する文字コードに誤りがあった、(2) 他の金融機関と接続するゲートウェイの処理に問題があったという、いずれもプログラムのバグ絡みの事象のようです。
これを、三菱東京UFJ銀行は正確に情報提供しないのでしょうか?
実は、私は旧UFJ銀行の口座を持っていて、“片寄せ”される側の立場になります。トラブルが起こる可能性があるのなら、それに備えておく必要があって、そのあたりの情報提供を怠ってほしくないものです。
��※1)
三菱東京UFJ銀行
■ 新システムへの移行に伴うお知らせとお詫び
http://www.bk.mufg.jp/emg_info/owabi_20080512_01.html

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