2008年10月15日水曜日

プロジェクトESQ (01)

「なぜ動かないんだろう」

森は頭を抱えた。コーナーを担当している秋田も、難しい顔をしている。翌日のショールームの内覧会を控えて、演出プログラムにトラブルが発生していた。




さかのぼること5ヶ月前、森はクライアントに、

「Dataton TRAXを使いましょう」

と提案していた。AV機器やPCを総合的に操作するシステムとしては、PCベースのAMX(Panja)が知られていた。それに対して、TRAXはMacをベースにしており、老舗のソフトではあるが日本でシェアを失いつつあった。

クライアントの下島部長は少し頭をかしげ、

「分かった、TRAXで行こう」

と決断した。

下島部長が、AMXを使えないかと森に示唆していたのを押し切った形だった。このままでは責任問題になる、いや、そもそも明日の内覧会をどう乗り切ればよいのか。




秋田は、何度も何度もプログラムを走らせ、動作を確認している。うまく行くこともあれば、止まってしまうこともある状況だ。

その時、森は意外なことを言った。

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